転職・求人会社の公表数字はまやかしが多い
転職会社や求人サイトには、その信頼と実績としてさまざまな数字が掲載されていますが、ちょっと考えればおかしなものが少なくありません。ここではその数字のカラクリについて解説します。
ランキングで1位のサイトもある某看護師転職会社の利用者満足度96.2%の嘘
個別名を挙げるのは避けますが、ある看護師の転職サイトがずっと何年も利用者満足度96.2%になっているのはおかしい、と話題になったころがありました。(このサイトはネットでの炎上が原因かどうかは不明ですが、現在ではすっかりなりをひそめてその存在すら感じないほどに落ち込んでいますが)。これは数年前にYAHOO知恵袋に記載されていた数字と小数点以下1位まで同じであることに気がついた看護師がブログに掲載したものです。調べてみると少なくとも3年はまったく同じ数字となっていることで、虚偽掲載として話題になったのです。会社側からの説明は何もありませんでしたが、このサイトの利用者から「公開求人ばかりだった」「しつこく電話がかかってきて迷惑した」などとても顧客満足が9割を超えているとは思えないコメントが噴出したのです。挙句の果てには、案件数の多さをアピールするために終了してしまった求人を削除していないという噂がネットに流れ出し、実際確かめてみると半分以上が古くて終わっている内容でした。
では、どうやってこの求人・転職会社は高い利用者満足度の数字を作ったのか
ネットでの話題は96.2%という数字の根拠に及びました。勝手に作ったんだろうという意見が大半を占める中で、内部の人と称する投稿者からある口コミサイトに書き込みがあったのです。それは
「利用者アンケートは本当んじ実施しています。でも、その集計方法に問題があります。利用者満足度は自由記載欄に書かれた意見を会社側が解釈して判定しているのですが、空欄は満足したに仕分けられるため、7、8割は満足に分類されてしまいまう。また、希望に合わない職場を押し付けられた。電話がしつこい。サポートが貧弱。などの指摘はすべて改善希望として分類され、改善してほしいところはあるものの、他の点には満足したと解釈してしまうのです。結局、「ふざけるな!」とか「二度と使わない!」といった強烈なクレームしか不満足には数えられません。つまり、3.8%、約30人にひとりは激怒しているというのが実態です。」
なるほど、と言ったところですね。たしかに満足と不満足は背反する2つの事象であり、このどちらかに入ることを前提とするならば、どう解釈しても怒りにしかとらえられないもの以外はすべて満足に入れてしまえるわけです。この会社の巧みさは、利用者満足度をよくある「非常に満足、やや満足、普通、やや不満、不満」といった定量的なアンケートとしなかった点です。定性的な記述であれば会社側の解釈でどのようにでも集計できてしまいます。このように第三者からの評価でなく、自社調査の数字はまったくあてにならないので、だまされないことが肝心です。