企業に転職したい看護師のメリット・デメリットと主な職業

1.【看護師が企業で働きたいと考えるときは?】

看護師の仕事で不満を抱えたとき、病院ではなく企業に転職したいと考える看護師は少なくありません。その理由として、病院の看護師は休みが少なく不規則になりがちですが、企業の多くは決まった休みが取れることが大きいです。

調査でも、1か月間における48時間連続の休日(約2日間)の取得状況について、0回もしくは1回のみという看護師が3割以上を占めています。週休2日であれば1ヶ月に4回は48時間連続の休日を取得できますが、4回以上取得している看護師は17%程度しかいません。そのため、週休2日が一般的になっている企業勤務は休暇面で大変魅力的なのです。

しかしながら、実際に企業で働くということに具体的なイメージを持っている看護師は多くありません。

看護職にこだわらず、興味関心のある分野で働いてみたいと考える看護師は33.4%とおおよそ3割という調査もあります。しかし、働いてみたい職場として挙げられるのは訪問看護、介護保険施設など医療施設が中心です。

⇒(参考)厚生労働省 第1回看護職員需給見通しに関する検討会 看護職員の現状と推移

クリックして0000072895.pdfにアクセス

 

⇒(参考)「2017年 看護職員実態調査」結果報告~職場の労働環境~

https://medical-saponet.mynavi.jp/news/detail.php?id=222

 

加えて、看護師の9割はキャリアに関する情報を十分に得られていないともいわれています。キャリアの情報源は主に職場の先輩や同僚のため、企業に転職する看護師のキャリアパスは広く知られていません。そのように、看護師は企業に転職したくとも必要な情報を得られにくいのが現実です。今回は、看護師が企業に転職するメリット・デメリットおよび主な職業についてご説明します。

⇒(参考)レバレジーズ株式会社 看護師1,700人に聞いた「キャリアに関する意識調査」、「十分な情報を得られている」看護師は1割未満(2018年5月10日)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000189.000010591.html

 

2.【看護師が企業で働くメリットとは?】

主に、病院で働くケースと比べた企業で働くメリットです。看護師が企業で働くことに魅力を感じる点でもあります。休日や重労働の軽減など、心身負担におけるメリットがよく聞かれます。

 

2-1.【夜勤が少なめ・カレンダー休日】

一般的に、病院勤務に夜勤はつきものです。救急はもちろんのこと、世間一般の休日だからといって病院は休みではありません。人手不足で規定通り休めないケースも多々あります。家族と年末年始やお盆を過ごすことも難しいのです。

その点、企業の多くは週休2日に加えて祝日や夏季休暇・年末年始休暇があります。コールセンターなど一部を除き、夜勤はめったに聞かれません。決まった休みが取れることは企業で働く一番のメリットともいえます。

 

2-2.【精神的な負担が比較的少ない】

看護師は、患者の健康や命と常に近い場所で働いています。その責任感が大きなやりがいに繋がっている看護師が少なくありません。しかし、目の前にいる患者の健康を左右するというプレッシャーは重く、精神面でのタフさが求められます。

看護師の資格を生かす以上、企業においても人々の健康や衛生に関連した仕事となりますが、間接的な業務になるだけでも精神的な負担は軽くなります。

 

2-3.【肉体的な重労働が少ない】

看護業務では、じっと座っていることが少なく、患者さんの体位変換など体力を使います。前述の精神的な負担もあり、一挙一動に気を遣わなければなりません。年齢を重ねていく内に、体力の限界を感じてしまう看護師が多いのです。

企業の看護師は病院と違い、デスクワーク中心の仕事もあり、患者につきっきりの業務はほぼありません。年齢等を理由に体力にあまり自信がない看護師にとっては重要なポイントです。

 

3.【看護師が企業で注意すべきデメリットとは?】

看護師の働き方に比べて、企業で働くデメリットとされることを挙げています。デメリットの感じ方は当人の適性にもよるため、自分の特性に当てはめて検討すべきといえます。

 

3-1.【募集が少なく、すぐ埋まりやすい】

企業の看護師の募集は、病院等と比べて大変少ないです。看護師の就業場所の大半は病院・診療所で、企業への就業は全体のわずか1%程度と見られています。

しかし、求人があってもライバルが多いのですぐに埋まってしまうことも少なくありません。なりたいと思ってもすぐに募集があるわけではなく、また、採用に至るまでのハードルが高いのです。

良い求人があり次第すぐに応募できるよう、普段から転職支援会社を活用して、情報収集や履歴書・面接対策をしておくことをおすすめします。

⇒(参考)厚生労働省 第1回看護職員需給見通しに関する検討会 看護職員の現状と推移

クリックして0000072895.pdfにアクセス

 

3-2.【新しく覚えることが多いのに潰しがききにくい】

すでに看護師としてのスキルを生かそうとする場合でも、企業ではまた別のスキルが必要になります。新しく覚えなければいけないことが沢山な上に、仕事の評価方法も変わってきます。

そのように覚えたスキルの中には、その企業独自のやり方であって他所で流用できないケースがあります。医療関連の知識は業界や分野で異なるため、仕事によっては専門性が非常に高いことがあるためです。

培ったスキルを生かせるキャリアの幅が狭くなる可能性が高いので、転職の際は将来のキャリアステップまで考えておくことが大事です。

3-3.【同業が少なく周りに相談しにくい】

看護師が看護師資格を生かして企業で働くケースは、世の中から見ても大変少ないです。同業者が少ないと、情報交換やキャリア相談をする相手も見つかりにくく、仕事の悩みが増えがちです。病院ではチームワークが基本となりますが、企業では部署を超えたコミュニケーションが全くないところも少なくありません。仕事が違えば、看護学生時代の同期や元同僚の看護師仲間に相談しても大変さを理解してもらえなかったり、的を射たアドバイスがもらえなかったりします。

看護師の大半は女性ですが、女性は特に「共感」を大事する傾向が強いのです。今までコミュニケーションでストレスや悩みを発散していた方は、ひとりで悩みを抱え込んでしまう可能性があります。

 

4.【看護師資格が活かせる企業系職種】

ここでは、看護師の転職先として人気の職種をご説明いたします。

いずれも看護師に比べると募集が少ない職種のため、情報収集をしながら希望の求人を探すことをおすすめします。

 

4-1.【産業看護師】

よく聞かれるのが産業看護師です。企業内看護師と呼ばれることがあります。

会社内の保健室ともいわれるように、企業における健康指導・保健指導・研修・過重労働対策などの業務を行います。危険な化学薬品を扱うなど、その企業の事業上で予測されるリスクに備えているケースも多いのですが、最近では社員のメンタルヘルス管理や感染症の予防など幅広くなりました。

そのため、多くは看護師だけでなく保健師資格の保有が求められており、予防医療に関する知識は必須といえます。

また、企業の方針によっては、禁煙など特定分野の健康指導に力を入れています。産業看護師を目指すにあたって下記のような資格が有利です。

・産業カウンセラー・・・一般社団法人日本産業カウンセラー協会によるメンタルヘルス、キャリア開発、人間関係などで心理学的な手法でサポートするための資格です。

・衛生管理者・・・労働安全衛生法で定められた国家資格です。事業所の衛生全般の管理を指し、一定規模以上の事業場には専任の義務があります。

・禁煙支援士・・・日本禁煙科学会(JASCS)が認定しており、禁煙サポートの知識があることを認定する資格です。初級・中級・上級に分かれています。

・産業保健看護専門家制度・・・日本産業衛生学会による既定のコースを受けて試験に合格すると産業保健看護の専門家として認定され、制度に登録できます。

年収は300~500万ですが、地域・企業規模によって幅があります。非常勤など柔軟な勤務形態も多いため、フルタイムを希望していない看護師にとっても人気の求人です。

 

4-2.【治験コーディネーター(CRC)】

治験コーディネーター(CRC)は、治験業務のサポートを行います。治験コーディネーターの半数以上が看護師資格を保有しているともいわれており、看護師からの転職組が多い職種です。

医療機関において治験を行う場合、治験施設支援機関(SMO)によって治験に関わる医師や看護師等の支援をします。業務には、患者の管理、データ収集、スケジュール調整、診療の立会いなどが含まれます。

医療従事者だけでなく患者とも間接的にコミュニケーションを行うため、医療従事者・患者の双方に寄り添える看護師が重宝されるのです。

⇒(参考)日本SMO協会 SMOの役割と主な業務

http://jasmo.org/ja/business/outline/index.html

⇒(参考)国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 臨床研究センター CRCの仕事とは

http://ccs.ncgm.go.jp/ctmo/010/040/crc.html

そのため、病院で一定の経験を積んだ看護師が有利です。スケジュール進行における交渉能力、コミュニケーション能力、そして重要なデータを扱うためPCスキルも必須です。

年収は350~400万円程度が多いのですが、残業は少なめで働きやすい条件の求人がよく見られます。年齢幅が広く、治験を実施する病院は全国にあるため仕事を見つけやすい点も人気の理由です。

 

4-3.【臨床開発モニター(CRA)】

治験コーディネーター(CRC)と同様に治験業界ですが、一番の違いは製薬会社側の仕事である点です。製薬会社もしくは、製薬企業から受託した治験を支援する受託臨床試験機関(CRO)に就職することになります。

モニタリングと呼ばれる、治験において安全性を保ちつつ信頼できるデータを収集できているかを確認する業務がメインです。新薬が世に出るまで医療施設と製薬企業の橋渡しとなり、「臨床開発の最後の砦」ともいわれています。

そのため、仕事は症例報告書(CRF)の回収だけには留まりません。データの取扱いや適切な報告書の作成だけでも法律等さまざまな確認をしなければならないのです。

医学、薬学の幅広い知識が必要です。さらに製薬はグローバルに開発されたものを取扱うため、外資企業による求人が少なくありません。日本企業であっても海外とやり取りするプロジェクトがあるので語学力も重要です。

年収は400~600万円以上ですが、外資企業ともなればさらに高給を目指せます。

プロジェクトによって出張や残業が頻繁で、一般的に見ても忙しい職種です。製薬会社がある東京・大阪など都市部の求人が一般的です。一人前の臨床開発モニターになるには、一定以上の専門知識や経験が必要なため、若手の方が研修しやすく転職に有利とされています。

理系の大学・大学院卒、薬剤師出身が多く、看護師出身の臨床開発モニターはそう多くありません。知識や学びに自信のある看護師にとってはチャレンジしがいのある職種といえます。

 

4-4.【コールセンター】

製薬会社のDI業務、医療機器関連会社のお問い合わせ窓口や、最近では在宅医療、健康保険組合の被保険者向けサービスなどの健康相談窓口としたコールセンターが多いです。看護経験豊富で、瞬時に的確な判断を下せる能力を持つ人が好まれやすいです。電話越しでも伝達できる高いコミュニケーションスキルも必要となります。

比較的、体力的な負担が少ないため長く働くことができ、パートや夜勤など柔軟な働き方ができることが特徴です。

社内資料やFAQなど研修がしっかりしていますが、製薬会社や医療機器会社などのメーカーであれば機械や製薬の専門知識など、業務に必要な知識を覚える必要があります。

年収は300~500万と働き方によって差があるものの、企業内でのキャリアアップが期待できます。

一般的にコールセンターにはパート等含めて従業員が多いので、研修やマネジメントができるスーパーバイザー(SV)やマネージャーへステップアップできます。メーカーであれば、サービス部門の担当者からサービス開発にも携われる可能性もあるのです。

自治体の子育てケアの一環として、医療関連の専門家によるコールセンターが設置されるなど、看護師のコールセンター需要は増加傾向です。コールセンターは遠隔医療とも関係が深いため、今後も多様なニーズが予想されます。

⇒(参考)富士通株式会社 妊産婦や子育て世帯のケアなど地域による包括的な支援を実現する

「妊娠期・子育て支援サービス」を販売開始(2018年5月11日)

http://pr.fujitsu.com/jp/news/2018/05/11.html

 

4-5.【その他】

まだメジャーではないものの、遠隔医療の導入に係る需要が日増しに大きくなっています。医療の偏在化をなくすため、厚生労働省をあげて遠隔医療の推進が始まりました。すでに医療ベンチャー企業による求人が都市部では見られます。

仕事内容は遠隔の健康相談や、サービス開発など多岐に渡ります。ベンチャー企業は色々な業務に携わることができます。最新技術に関心が高い看護師に向いています。

⇒(参考)厚生労働省 平成30年度厚生労働省事業 遠隔医療従事者研修

https://enkakuiryo.jp/

また、医療関連会社の編集者やライターの求人も、看護師を歓迎条件とするところが多いです。

医療機器や医薬品のカタログ制作、マーケティング、プロモーション、学術誌等の企画・制作・編集などが挙げられます。医療の専門家に向けたプロモーション、ニーズの把握、文献チェックに看護師の知識が役立ちます。

なお、「メディカルライター」や「メディカルライティング」といった場合、治験における書類を作成する非常に専門的な職業を指すことがあります。1996年に国際基準となる日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)のガイドラインの発表を受けて日本でも治験における報告書作成の専門家が必要とされるようになりました。製薬業界では臨床開発モニター(CRA)の関連職種ともされています。

そのため、一般向けの医療記事を執筆するライターは「ヘルスケアライター」と呼び、区別しています。いずれも看護師からの転職が可能な職種のひとつですが、看護業務と大きく異なるスキルが求められるので、セミナー等で技術を学びながらキャリアを検討してみることをおすすめします。

⇒(参考)特定非営利法人(NPO)日本メディカルライター協会

http://www.jmca-npo.org/

 

3.【まとめ】

✓ 【看護師が企業で働きたいと考えるときは?】

⇒週休2日など休暇面で魅力的。企業への興味・関心があっても情報不足。

✓ 【看護師が企業で働くメリットとは?】

⇒夜勤が少なく、精神的プレッシャーや肉体的負担が軽減。

✓ 【看護師が企業で注意すべきデメリットとは?】

⇒募集が少なく覚えることが多いが、キャリアステップが見えにくく相談しにくい。

✓ 【看護師資格が活かせる企業系職種】

⇒産業看護師、治験業界、コールセンター、少数だがライターや医療ベンチャーなど

看護師が企業で働く場合、カレンダー通りの休みが取りやすいことと、看護師特有の精神的・肉体的負担が軽減されるのは大きいメリットです。

しかしながら、そもそも募集が少ないので狭き門となっています。そのため、働き始めても看護師と全く違う仕事でキャリアパスが見えにくいのです。周りに同業者が少ないことも、人によっては孤独を感じやすく、大きなデメリットになりえます。

また、産業看護師はそのまま看護師としてスキルを生かせますが、全体的に看護師の専門知識を生かしつつ、別分野のスキルを必要とされます。スキル磨きに熱心な方や、自分の得意分野を生かしたい方に向いています。

転職支援会社のエージェントなどを活用して、自分の特性や今後のキャリアを見据えながら転職を進めることをおすすめします。

<参考>日本看護協会
尾身さんを応援しています。
尾身茂:https://www.instagram.com/omi.shigeru/?hl=ja


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